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国際社会で、日本外交の存在感を示さなければならない。
日本は今年、先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国を務める。国連安全保障理事会の非常任理事国にもなった。ロシアによるウクライナ侵略が続いている。中国は台湾併吞(へいどん)を狙っている。北朝鮮は核・ミサイル戦力強化に走っている。世界の平和と安定に向け、日本が外交努力を強めるべき年である。
岸田文雄首相は6日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した。招請のあったウクライナ訪問について「諸般の状況も踏まえ検討していきたい」と述べた。できるだけ早期に訪問し、積極的な支援を直接伝えるべきだ。
1月9日から岸田首相は、フランス、イタリア、英国、カナダ、米国を歴訪する。13日には米ワシントンのホワイトハウスで、バイデン米大統領と会談する。
日米首脳会談では、ロシアによるウクライナ侵略のほか、台湾併吞など「力による現状変更」を試みる中国への対応について協議する。北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題も議題だ。
中国、北朝鮮、ロシアという核を保有する専制国家に囲まれた日本は、ロシアに抗戦するウクライナを除けば、世界で最も厳しい安全保障環境下にある。
岸田首相には日本の防衛力を抜本的に強化する決意をバイデン大統領に直接伝え、強固な日米同盟を世界に発信してもらいたい。それが日本のみならず、地域と世界の平和と安定に欠かせない。
今回の首相外遊は、5月に広島で開かれるG7サミットの地ならしの意味合いもある。
欧米各国の世論の一部には「ウクライナ疲れ」もみられるが、ロシアにつけいる隙を見せてはならない。岸田首相は、対露制裁の強化やウクライナ支援の充実へ主導的役割を果たすべきである。
日本が任期2年の安保理非常任理事国になるのは6年ぶりだ。
ロシアは常任理事国でありながら国連憲章を無視して侵略を続けている。だが、ロシアや北朝鮮をめぐる問題で安保理は機能不全に陥っている。国連総会でも、対露非難決議に賛同しない途上国が相当数ある。日本は安保理改革の旗を振るべきだ。多くの途上国に働きかけ、ロシアによる侵略を許さない国際世論をつくる努力も一段と強める必要がある。
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2023年1月7日付産経新聞【主張】を転載しています